Institute of Innovative Research, 
Tokyo Institute of Technology.

2018.07.17

プレスリリース

硫黄化合物を低温・高効率で酸化する環境型触媒を開発

サルファーフリー燃料ほか有用物合成に威力

東京工業大学 科学技術創成研究院 フロンティア材料研究所の原亨和教授、鎌田慶吾准教授と元素戦略研究センターの熊谷悠特任准教授、フロンティア材料研究所の大場史康教授らは、ルテニウム酸バリウム(BaRuO3)菱面体晶ペロブスカイト触媒が、硫黄化合物のスルフィドから酸素分子(O2)のみを酸素源として有用なスルホキシドやスルホンを合成できることを発見した。

酸素分子のみを酸化剤とする選択酸化反応は高難度反応の一つであり、新しい固体触媒の設計と開発が切望されている。原教授らは、実験と理論計算による反応機構を検討し、BaRuO3触媒中の近接する二つのルテニウムを架橋する酸素原子(面共有酸素八面体構造)が酸化反応に寄与し、温和な条件でも高い触媒性能が発現することを明らかにした。この研究成果は複合酸化物中の反応性の高い特異な酸素原子の活用が高効率酸化反応開発の有用な手法であることを示している。

従来の合成手法では、望みの組成と大きな表面積を併せもつペロブスカイト型酸化物触媒を合成することは困難とされていた。原教授らが独自開発したゾルゲル法により、大きな表面積をもつBaRuO3ナノ粒子を合成でき、温和な条件下においても高い触媒性能を発現させることに成功した。

研究成果は2018年7月9日(日本時間16時)に米国科学誌「ACS Applied Materials & Interfaces(エーシーエス・アプライドマテリアルズ・アンド・インターフェイシーズ)」オンライン速報版で公開された。