Institute of Innovative Research, 
Tokyo Institute of Technology.

2018.07.18

プレスリリース

サイズアップで光触媒の性能向上

表面構造を主流だったナノメートルからマイクロメートルにするだけ

東京工業大学 科学技術創成研究院の長井圭治准教授、ファイルス・アーマド大学院生(マレーシア大学ペリルス校講師)、同大学分析部門の鈴木元也氏、弘前大学理工学研究科の阿部敏之教授らの研究グループは、有機半導体のp-n接合を基板面方向に形成し、特異な酸化力を持つ領域が形成されることを見出した。

この知見をもとに、表面に“マイクロメートル(µm)”レベルのp-n接合体を形成させることで、通常のp-n接合よりも大きな酸化力をもつ光触媒を得ることに成功した。長井准教授ら研究グループは、有機薄膜太陽電池のように遷移金属を全く含まない有機材料で、可視光で応答する光触媒を開発してきた。これまでは、新奇分子の開発やナノメートル(nm)レベルの構造制御により酸化還元力(太陽電池の発生電圧に相当)を向上させる試みがなされてきたが、今回は、マイクロメートルという、従来よりも2桁以上大きなサイズの構造が有効であることを示した。これは光触媒の性能向上のみならず、同じような構造を利用する有機薄膜太陽電池にも応用できる可能性がある。

本成果は 2018年7月17日付けの国際的材料科学専門誌「NPG Asia Materials 電子版」に掲載された。