ご挨拶
東京工業大学は、学内の研究体制を再構築し、2016年4月1日、最高峰の基礎研究、応用研究、開発研究の推進をミッションとする新たな組織として、約180名の教員を擁する科学技術創成研究院(IIR: Institute of Innovative Research)を創設しました。研究院は、大規模な研究組織である研究所、中規模の研究センター、小規模のチームで最先端の研究を行う研究ユニットが設置されているのが特徴であり、初代益 一哉院長、二代目小山二三夫院長、三代目久堀 徹院長のもとで研究力を伸長させてきました。
そして、不安定な国際情勢に加えて、COVID-19が依然猛威を振るう中で、新年度を迎えました。こうした時こそ科学技術創成研究院は、179名の常勤教員、11名の常勤事務職員(所属は学院等事務部)、154名の非常勤教員、185名の非常勤職員、1,155名の指導学生(いずれも2021年4月1日現在)とともに、指定国立大学の研究組織として世界と向き合い、基礎研究、応用研究、開発研究を推進していきます。また、アカデミアとして基礎研究を推進し、若手研究者を育成する基礎研究機構の活動、社会課題即応研究を進める一環として、COVID-19からの脱却を目指す研究者が自主的に研究を進めている脱コロナ禍研究プロジェクトの活動にも注力致します。
研究院の運営にあたって、三つのことを大切にします。まず自由です。研究の原点は研究者の自由な発想にあります。一人の研究者の持つ興味から生まれた研究成果が歴史を動かしてきた例は枚挙に暇がありません。研究所等の組織自体でさえ、向かう方向は自由に選択することができます。第二に挙げるのは自律です。自由に研究を行い、同時に息の長い基礎研究を守り育てるには組織として自律していることが求められます。将来的には研究に係る部分について、財務的に自立した研究組織として運営することが理想です。そして最後に、研究院は笑顔を届ける組織でありたいと願います。実験失敗の連続の先に新事実を発見したときの笑顔、研究プロジェクトが採択になった時、無事に終わった時、大学発ベンチャーを作り上げた時の笑顔、異分野交流で新たな気づきを得た時の笑顔、教職員と学生が皆で語らう時の笑顔(今はできませんが)、そうした笑顔の総和が、研究院の活動目的である、研究成果とともに幸せを社会へ届けることに繋がると信じます。
今後とも、研究院の活動へのご指導ご鞭撻を頂きますよう、どうぞ宜しくお願い致します。
Freedom, Autonomy and Smiles @ Institute of Innovative Research.
2022年4月1日
科学技術創成研究院長 教授
Naoto Ohtake