Institute of Innovative Research, 
Tokyo Institute of Technology.

2022.03.09

プレスリリース

固体と分子の境界サイズの物質を合成する新たな手法を開発

超分子カプセルを用いて巨大な金属クラスターを合成

東京工業大学 科学技術創成研究院の塚本孝政助教(科学技術振興機構 さきがけ研究者を兼任)、山元公寿教授、神戸徹也助教らの研究グループは、2018年に開発した「アトムハイブリッド法」を応用し、これまで困難とされた「準サブナノ物質」の精密な合成に初めて成功した。

ナノ粒子とサブナノクラスターの境界に位置する準サブナノサイズの物質は、固体と分子の中間の性質を持ち得る興味深い物質群であるが、これまで精密な合成はほとんど達成されていなかった。本研究では、2種類の樹状分子を混合するだけで自発的に組み上がる巨大な「超分子カプセル」を新たに開発し、このカプセル内部に80個を超える多数の金属イオンを取り込むことに成功した。この複合体を原料として用いることで、最終的に84個程度のロジウム原子からなる準サブナノ物質の合成を実証した。この超分子カプセルは、パーツとなる樹状分子を様々に選択することで、自在に構造を設計できる点が大きな特徴であり、将来的には100個を超える原子を持つ、さらに大きな粒子の合成や、準サブナノ物質の新たな学理の構築が期待できる。

研究成果は、2022年1月10日発行のドイツ化学会誌「Angewandte Chemie International Edition(アンゲヴァンテ・ケミー国際版)」オンライン版に掲載された。また、本論文は同雑誌の「Very Important Paper (VIP)」(全論文のTOP 5%以内)に選定された。