2022.03.08
ファンデルワールス力による”つよく”・”しなやか”な新しい結合
強磁性トンネル接合素子の構成材料としてグラフェン二次元物質/規則合金の異種結晶界面に期待
情報機器でのエネルギー消費増大問題を解決するために、計算機用の高性能な不揮発性磁気メモリ(MRAM)の開発が求められています。東京工業大学、東北大学国際集積エレクトロニクス研究開発センター、東北大学電気通信研究所、神戸大学、早稲田大学、ブルカージャパン、パリ-サクレー大学、フランス国立研究センターの国内6機関・国外2機関のそれぞれが得意とする専門分野を学際的に協働することにより、結晶系の異なる六方晶系の二次元物質(グラフェン)と正方晶系の規則合金(L10-FePd)の界面(異種結晶界面)をファンデルワールス力により”しなやか”に結合させ、かつ界面電子密度の増加により”つよい”混成軌道が誘起されたため、界面垂直磁気異方性を出現させることに成功しました。さらに、直接観察実験と理論計算の両方からグラフェン/L10-FePdの異種結晶界面の原子位置を正確に決定することに成功しました。本研究により、界面磁気異方性とL10-FePdのもつ高い結晶磁気異方性の両方を利用する道筋が示され、X nm世代のMRAM用の微小な強磁性トンネル接合(MTJ)素子への利用が期待されます。
本研究成果は、米国化学学会発行の科学誌ACS Nanoの2022年2月28日(米国東部標準時EST)にオンライン掲載されました。