Institute of Innovative Research, 
Tokyo Institute of Technology.

2017.02.14

プレスリリース

プラズマ照射により植物細胞へのタンパク質導入に成功―品種改良や開花コントロールへの応用に期待―

東京工業大学 科学技術創成研究院の沖野晃俊准教授と農業・食品産業技術総合研究機構の柳川由紀特別研究員、光原一朗主席研究員は共同で、大気圧低温プラズマを用いて植物細胞にタンパク質を導入することに成功した。二酸化炭素または窒素で生成した大気圧低温プラズマをタバコ葉に数秒照射した後、タンパク質を含む溶液に浸すと、タンパク質がタバコ葉の細胞内に入ることを確認した。シロイヌナズナの葉とイネの根の細胞にも同様の方法でタンパク質を導入した。

この技術は植物体に特別な前処理をする必要がないので、前処理の問題からこれまでタンパク質導入が不可能であった植物種や組織にも広く利用できる。また、導入するタンパク質自体にも特別な処理が不必要なので、実際の栽培環境で使える。今後はゲノム編集による品種改良、開花誘導タンパク質による開花コントロール、植物の機能コントロールなどへの展開が期待される。

この成果は「Direct protein introduction into plant cells using a multi-gas plasma jet(植物細胞へのガスプラズマによるタンパク質導入)」というタイトルで2月10日に米国の科学誌「PloSOne」に掲載された。