Institute of Innovative Research, 
Tokyo Institute of Technology.

2017.02.22

プレスリリース

新触媒で糖由来化合物から欲しいものだけを合成―バイオマス資源から有用化成品製造への応用に期待―

東京工業大学 科学技術創成研究院 フロンティア材料研究所の原亨和教授と鎌田慶吾准教授らは、リン酸セリウム(CePO4)触媒が他の触媒とは大きく異なり、糖や炭水化物から生成される5-ヒドロキシメチルフルフラールから、有用なアセタール化合物のみを合成できることを発見しました。

本触媒を用いることで、様々なアセタール化合物の合成に応用できることがわかりました。CePO4触媒上に近接する2つのサイト(ルイス酸と塩基)がそれぞれ異なる反応分子を活性化することで、高い触媒性能が発現することが示唆されます。

構造を制御された2つ以上の活性サイトをもつ多機能触媒の中でも、新しい酸・塩基固体触媒の設計と開発が切望されています。本研究は、固体触媒上での2つの分子の同時活性化を利用した高効率反応開発の有用な手法であるといえます。従来の金属酸化物に代表される酸・塩基触媒の多くは、均質な活性サイトの構築が困難とされていました。酸点である希土類金属と塩基点であるオルトリン酸とのユニット融合というコンセプトで合成した本触媒は、均質な2つの活性サイトをもちます。この二元機能により、高い触媒性能が発現しました。

本研究成果は英国科学誌「Chemical Science(ケミカル・サイエンス)」オンライン速報版に2017年2月7日に公開されました。