Institute of Innovative Research, 
Tokyo Institute of Technology.

2018.06.28

プレスリリース

指先につけるだけで非破壊検査できるデバイスを開発

カーボンナノチューブ膜によるテラヘルツ検査チップ

東京工業大学 科学技術創成研究院の河野行雄准教授、理化学研究所の鈴木大地博士(研究当時・東工大 河野研究室所属)、産業技術総合研究所 ナノ材料研究部門の桒原有紀博士らは、カーボンナノチューブ膜を材料としたウェアラブルなテラヘルツ検査デバイスを開発した。大規模な測定系を必要とせずに、指先につけるだけで配管の亀裂検査といった非破壊検査が可能になる。

テラヘルツ光の検出原理である光熱起電力効果を高めるため、カーボンナノチューブ膜の吸収率や熱電性能を最適化し、高感度検出かつ折り曲げ可能な検出器を実現した。工業部品や医薬品などの製造で、製品の信頼性を保証するための高機能な検査技術が求められている。テラヘルツ帯を活用した非破壊検査技術は測定対象内部の形状・材質の情報を計測可能なことから注目を集めており、実用化に向けた研究が精力的に行われている。

従来の検査技術は測定対象の形状やサイズによる場所の制限があったが、開発技術はあらゆる形状の測定対象を任意の場所で簡便に検査できる。工場内の入り組んだ環境での品質検査や訪問医療などの移動先での即時検査といった応用が期待でき、非破壊検査業界にブレークスルーをもたらす成果である。

研究成果は2018年6月6日付で米国化学会誌の1つ「ACS Applied Nano Materials」に掲載された。