Institute of Innovative Research, 
Tokyo Institute of Technology.

2024.05.23

プレスリリース

マルチフェロイック光触媒ナノ粒子による有機染料の高効率分解を確認

グリーンテクノロジーによりSDGsの達成に貢献

東京工業大学 科学技術創成研究院 フロンティア材料研究所のTso-Fu Mark Chang(チャン・ツォーフー・マーク)准教授と岡本敏特任教授を中心とする研究チームは、住友化学次世代環境デバイス協働研究拠点において、マルチフェロイックAu-BiFeO3光触媒ナノ粒子の作製に成功し、可視光および近赤外線照射下で高効率なメチレンブルー有機染料の分解を達成した。BiFeO3は可視光から近赤外まで吸収できる無毒の光触媒であり、金(Au)ナノ粒子との統合により有機染料の分解能力がさらに向上することを確認した。さらに、Au-BiFeO3光触媒ナノ粒子は強磁性を備えているため、容易にリサイクルでき、環境の二次汚染を防ぐことが可能と考えられる。

安全な水の確保や、それに向けた廃水処理技術の向上はSDGsの重要な目標であり、特に環境中の残留性有機汚染物質(POPs)の除去にとって重要な課題である。本研究で作製したAu-BiFeO3光触媒ナノ粒子はグリーンエネルギーである太陽光で駆動することが可能であり、持続可能性の高い材料と言える。太陽光においては可視光と赤外線がエネルギー分布の90%超を占めており、それらを活用できるマルチフェロイックAu-BiFeO3光触媒ナノ粒子の作製成功は、「持続可能な世界」の実現に大きく貢献すると考えられる。

本研究成果は、4月5日に米国化学会誌「ACS Applied Nano Materials and Interfaces」に掲載され、サプリメンタリィ表紙の研究(ACS Supplementary Cover)として選定された。