Institute of Innovative Research, 
Tokyo Institute of Technology.

2023.07.26

プレスリリース

超高圧合成、添加剤が選択的物質合成の決め手に

電池材料等への応用に期待

東京工業大学 物質理工学院 材料系の鈴木仁哉大学院生(研究当時)、大河内寛保大学院生(研究当時)、科学技術創成研究院 フロンティア材料研究所の山本隆文准教授、東正樹教授、量子科学技術研究開発機構の齋藤寛之グループリーダーらの研究グループは、超高圧合成法により、ペロブスカイト型バナジウム酸水素化物SrVO2.4H0.6およびSr3V2O6.2H0.8の合成に成功した。

酸水素化物は、アンモニア合成触媒や電池材料として近年注目されている新しい物質群であり、水素社会実現に向けて重要な物質群の一つと言える。本研究では、超高圧合成法を用いて新規ペロブスカイト型バナジウム酸水素化物SrVO2.4H0.6およびSr3V2O6.2H0.8の合成に成功した。原料物質を混合して反応させるだけでは狙った酸水素化物を得ることができないが、ターゲットの組成には影響しない塩化ストロンチウムを添加剤として加えることで、反応が選択的に進行することが分かった。今後、同合成手法を用いることで、さらなる新規物質が合成されることが期待される。また、得られた新規物質はリチウムイオン電池の負極材料として高い性能を示すことも明らかにした。

本研究は、東京工業大学の松井直喜助教、長瀬鉄平大学院生、栃沢晴希大学院生、佐原広樹学士課程学生、西久保匠特定助教、酒井雄樹特定助教、大見拓也大学院生、Zhao Pan元博士研究員、池澤篤憲助教、荒井創教授、菅野了次特命教授、高エネルギー加速器研究機構 齊藤高志特別准教授らが参画した。本研究成果は、7月25日付「Journal of American Chemical Society」誌のオンライン版で掲載される。