Institute of Innovative Research, 
Tokyo Institute of Technology.

2022.06.14

プレスリリース

無線電力伝送と無線通信双方に同時対応するミリ波帯フェーズドアレイ無線機の開発に成功

電源線に制約されない中継器や基地局の設置を可能に

東京工業大学 科学技術創成研究院 未来産業技術研究所の白根篤史准教授と同 工学院 電気電子系の岡田健一教授は、無線電力伝送と無線通信双方に同時対応するミリ波帯フェーズドアレイ無線機を開発した。また、本無線機を用いて、電力および通信信号を同時にビームステアリングによって受信することに世界で初めて成功した。これにより、ミリ波帯無線電力伝送および無線通信の長距離化・広角化が可能となる。

従来の無線電力伝送の受信機においては、ビームステアリング機能に必須の移相器における損失が大きいためフェーズドアレイ構成は採用されてこなかった。本研究では、新たに点対称アンテナペアを利用したアンテナ・回路一体型移相器を提案することで、ビームステアリング時の電力効率を格段に向上させることに成功した。

試作したフェーズドアレイ無線機は、安価で量産が可能なシリコンCMOSプロセスによるICをLCP(液晶ポリマー)フレキシブル基板上に実装することで実現し、24 GHz帯における無線電力伝送および28 GHz帯の無線通信によって提案技術を実証した。本研究によって、電源の有無に関わらず、あらゆる場所にミリ波帯無線機の設置が可能となり、5Gおよび6G時代の通信エリアの拡大に貢献する。

研究成果の詳細は、2022年6月13日(現地時間)から米国ハワイ州ホノルルおよびオンラインで開催される国際会議「2022 IEEE Symposium on VLSI Technology and Circuits 」で発表する。