Institute of Innovative Research, 
Tokyo Institute of Technology.

2022.09.29

受賞

2022年度末松賞「ディジタル技術の基礎と展開」支援を相川洋平助教、川那子高暢助教が受賞

科学技術創成研究院 未来産業技術研究所 相川洋平助教(フォトニクス集積システム研究コア)と川那子高暢助教(量子ナノエレクトロニクス研究コア)が、本学の2022年度「末松賞『ディジタル技術の基礎と展開』支援」を受賞しました。

末松賞「ディジタル技術の基礎と展開」支援は、将来の基盤技術としてのディジタル技術に関心を持った若手研究者の育成を目的とし、コンピュータ、ロボティクス、ネットワーク技術などとそれらの活用に関する研究に対し研究費支援を行うものです。2018年度に東京工業大学基金の末松基金により創設されました。

受賞先: 東京工業大学
賞: 2022年度末松賞「ディジタル技術の基礎と展開」支援
受賞日: 2020年9月29日(木)

受賞者: 相川 洋平 助教(フォトニクス集積システム研究コア)
賞: 2022年度末松賞「ディジタル技術の基礎と展開」支援
研究課題: 光領域での尤度推定技術に基づく低遅延論理回路に関する研究
受賞内容:
現在のディジタル社会はCMOSからなる電子回路に支えられています。しかしながら、回路の微細化に伴って処理遅延が増大することが大きな問題になっています。このような問題に対して、電子回路における一部の処理を、光の領域で実行しようという取り組みがあります。これにより、光が回路を伝搬する過程で処理が完了することとなり、微細化するほどに処理遅延の改善が期待できます。こういった背景をもとに、筆者は光のままで信号間のパターンマッチングを行う研究に取り組み、世界に先駆けて動作の実現に成功してきました。本研究では当該技術を論理回路に応用します。とくに、回路の入出力関係をパターンマッチングとして捉えるという、新しい視点から迫ります。これによって、光と電子がそれぞれに適したかたちで処理を分担することができ、より低遅延なディジタル技術が拓かれると期待できます。

受賞者: 川那子 高暢 助教(量子ナノエレクトロニクス研究コア)
賞: 2022年度末松賞「ディジタル技術の基礎と展開」支援
研究課題: エネルギー効率の高いディジタルエレクトロニクスに向けたWSe2 CMOSFETの超低電圧設計とデバイス技術の研究
受賞内容:
シリコン(Si)半導体に基づくディジタルエレクトロニクスは現代の超高度情報化社会の根幹であり、今後も更なる発展が必要である。しかし性能向上の指導原理である微細化が本質的な限界に達し、微細化が終了すると1年で僅か3%しか性能が向上しない。また情報通信量の急増による半導体素子の消費エネルギーの急激な増加は、地球規模の喫緊の課題である。故にSiに代わる半導体として未結合手が無く、分子層1層でも電子と正孔がSiを超える高い移動度と両極性伝導を示す二セレン化タングステン(WSe2)が注目されている。本研究の目的はWSe2 CMOSFETのデバイス技術の確立と超低電圧動作によるエネルギー効率の高いディジタルエレクトロニクスの実現である。合金及び化合物金属によるソース/ドレイン技術と自己整合型ゲートスタック技術を独自に確立する事により、低電圧0.5V動作でCMOSインバータゲイン15を実証する。