Institute of Innovative Research, 
Tokyo Institute of Technology.

2022.04.26

プレスリリース

世界最小サイズの発光酵素picALuc®の開発に成功

ライフサイエンス分野・創薬分野の基礎研究や診断・検査薬に

東京工業大学 生命理工学院 生命理工学系の古田忠臣助教、科学技術創成研究院 化学生命科学研究所の上田宏教授は株式会社島津製作所と共同で、世界最小サイズの発光酵素「picALuc®」を開発した。

創薬スクリーニング・検査・診断のために用いられるレポータータンパク質としての発光酵素には、明るさや熱安定性等の高さに加えて、サイズの小ささが求められる。そこで本研究では、カイアシ類由来発光酵素ALuc®(21 kDa)の発光活性を維持したまま、分子量が13 kDaになるまで小型化することにより、新規発光酵素picALuc®を開発した。これはこれまでに開発されている実用レベルの発光酵素の中で最小のサイズである。またpicALuc®は、高い発光活性をもつ発光酵素NanoLuc®と同等の発光値と熱安定性を示した。さらに、picALuc®を分子間相互作用検出のための汎用法である生物発光共鳴エネルギー移動(BRET)ベースアッセイに用いたところ、NanoLuc®よりも高い応答が観察された。picALuc®は今後、ライフサイエンス分野から創薬スクリーニング・診断・検査までの幅広い分野において、有用なツールとなることが期待される。

本研究成果は2022年3月16日、「ACS Chemical Biology」にオンライン掲載された。