Institute of Innovative Research, 
Tokyo Institute of Technology.

2022.02.25

プレスリリース

高性能核融合炉ブランケットの新概念に見通し

900℃で機能する液体金属の合成法の開発とその腐食性に耐える構造材の発見

東京工業大学 科学技術創成研究院 ゼロカーボンエネルギー研究所の近藤正聡准教授と工学院 機械系 原子核工学コースの畑山奨大学院生(研究当時)、横浜国立大学 理工学部の大野直子准教授、量子科学技術研究開発機構 量子エネルギー部門 六ヶ所研究所の野澤貴史グループリーダーらは、核融合炉の心臓部であるブランケットの冷却材の新概念として検討されている液体金属の研究において、900℃の高温で機能する高純度の液体リチウム鉛合金の大量合成に成功した。さらに、その構造材の候補物質として、アルミニウムを含む鉄クロムアルミニウム(FeCrAl)酸化物分散強化合金が、900℃の液体リチウム鉛合金の厳しい腐食性に耐えることを明らかにした。

近藤准教授らは、リチウムとその約20倍重い鉛という、まったく密度の異なる2種類の金属を、ポテトマッシャーのような器具を用いて低い温度で一気に混ぜ合わせて大量に合成する技術を幅広いアプローチ(BA)活動の下の共同研究を通じて開発した。さらに、この液体リチウム鉛合金を900℃まで加熱した状態で、複数の種類の材料を対象に共存性試験を実施した結果、一般的な構造材料である316Lオーステナイト鋼が激しく腐食する一方、FeCrAl酸化物分散強化合金は、その表面に自ら保護性酸化被膜を形成しながら優れた耐食性を示すことを発見した。

本成果は、核融合炉などにおいて高温の液体金属を水素製造の熱源としても応用する技術革新につながり、カーボンニュートラル社会とゼロカーボンエネルギーの実現に繋がる新たな扉を開くものと期待される。本研究成果は、Elsevierの「Corrosion Science」オンライン版に2021年12月30日付で掲載された。