Institute of Innovative Research, 
Tokyo Institute of Technology.

2022.02.25

プレスリリース

隠れニューラルネットワーク理論を具現化したAIチップを世界で初めて開発

消費電力削減・推論精度向上により走るAI・飛ぶAIの実現に大きく前進

東京工業大学 科学技術創成研究院の劉載勲准教授、本村真人教授らは、末端(エッジ)機器でのAI応用の発展に向けて今後さらに重要となる、深層ニューラルネットワーク(DNN)の高効率な推論を実現する新規アクセラレータLSIを開発した。
これまでDNN推論アクセラレータLSIを自動車などのエッジ機器に搭載・応用するとき、外部メモリアクセス時の電力消費の大きさが課題とされてきた。本研究ではDNNの重み係数が乱数で固定されている「隠れニューラルネットワーク(Hidden Neural Network)」理論と呼ばれる新たなDNN理論に着目し、推論に必要な情報量と計算時の消費電力を大幅に低減する新規ハードウェア・アーキテクチャ「ヒデナイト(Hiddenite)」を世界で初めて考案した。新提案のオンチップモデル構築(On-chip Model Construction)技術によって、外部メモリアクセスを大幅に削減できることが大きな特徴である。さらに、本アーキテクチャに基づくアクセラレータLSIを製作し、世界最高レベルの高計算効率(最大34.8 TOPS/W)と、省モデルサイズDNNとして最高水準の推論精度(ImageNet 70.1%)の両立ができることを実測結果で示している。
研究成果の詳細は米国時間2月20日からオンラインで開催された「ISSCC2022(国際固体素子回路会議)」にて発表された(発表者:廣瀬一俊 博士後期課程3年)。ISSCCは集積回路に関する最難関国際会議である。