Institute of Innovative Research, 
Tokyo Institute of Technology.

2021.11.30

プレスリリース

難治性疾患クッシング病の発症分子機構の一部を解明

新たな治療薬の開発に向け前進

東京工業大学の柿原慧遵リサーチフェローと福嶋俊明助教、横浜市立大学の森次圭特任准教授を含む研究グループは、難治性疾患クッシング病の発症分子機構の一部を明らかにした。

クッシング病は下垂体のホルモン分泌異常によって起こる。本研究グループはこれまでの研究で、クッシング病患者の下垂体の多くでは脱ユビキチン化酵素USP8に変異が生じており、この変異が疾患発症の原因であることを突き止めていた。今回の研究では、USP8の内部に自己の活性を阻害する領域(自己阻害ドメイン)があり、正常なUSP8ではこの自己阻害ドメインが働いて酵素活性が一定の強さに抑えられていることを発見した。一方、クッシング病患者のUSP8では、変異によって自己阻害ドメインが十分に働かず、USP8が過剰に活性化することを明らかにした。この結果は、USP8の過剰な活性を抑える物質を開発すれば、クッシング病の新たな治療薬になる可能性を示している。

本研究成果は英国の科学誌「Communications Biology」11月8日(現地時間)に掲載された。