Institute of Innovative Research, 
Tokyo Institute of Technology.

2017.05.17

プレスリリース

葉緑体増殖の基礎的しくみを解明―葉緑体分裂・増殖時にDNA分配を制御する酵素の発見―

植物は光合成により二酸化炭素を固定し酸素を放出するとともに、有機物を合成し地球上のほとんど全ての生命活動を支えています。光合成はDNAの複製と分配を伴いながら分裂・増殖する葉緑体で行われます。小林優介 京都大学 博士課程学生、西村芳樹 京都大学 大学院理学研究科 助教を中心とするグループは、山口大、東工大(岩﨑博史 科学技術創成研究院 教授)、法政大、立教大、日本女子大グループと共に、葉緑体がもつ“葉緑体DNA(葉緑体核様体)”の分配(遺伝)を制御する遺伝子MOC1と、この遺伝子がコードする葉緑体型ホリデイジャンクション解離酵素を発見しました。ホリデイジャンクションとはDNA損傷の修復、複製、減数分裂の際にみられる、DNA配列がよく似た部分同士で組み換え(相同組み換え)が進む過程であらわれる構造ですが(図1)、葉緑体核様体ではこの構造がどのように切断されているかわかっていませんでした。今回の基礎的な発見から、葉緑体における相同組換え機構の解明、さらには新たな物質生産に向けた応用研究への展開も期待されます。論文は5月12日午前3時(日本時間)、Scienceに掲載されました。