Institute of Innovative Research, 
Tokyo Institute of Technology.

2020.11.11

プレスリリース

水分摂取を抑制する脳内メカニズムを解明

口渇感を調節する新たな脳機能の発見

東京工業大学 科学技術創成研究院 生体恒常性研究ユニットの松田隆志特任助教、野田昌晴特任教授らの研究グループは、脳内の脳弓下器官(SFO)においてコレシストキニン(CCK)を分泌する神経細胞(CCK作動性ニューロン;以下CCKニューロン)を同定し、このCCKニューロンが活性化することで飲水行動が抑制されることを初めて明らかにした。

また、CCKニューロンは、体液のナトリウムイオン(Na+)濃度の低下に応じて持続的に活性化する集団と、飲水行動に反応して一過性に活性化する集団の2種類が存在することを発見した。

本研究グループはこれまでにSFOにおいて飲水行動の誘導をつかさどる神経細胞(水ニューロン)および、その神経回路を明らかにしている。今回の研究成果は水ニューロンの活動が調節されるメカニズムを初めて解明したものであり、口渇感(こうかつかん)の異常に由来する水中毒や多飲症など、過剰な水分摂取により誘発される疾患の治療や予防法の確立に貢献するものと期待される。

本研究成果は英国の科学誌『Nature Communications(ネイチャー コミュニケーションズ)』に11月10日に公開された。