Institute of Innovative Research, 
Tokyo Institute of Technology.

2020.10.07

プレスリリース

ピルビン酸応答転写因子の微生物における新規な役割を同定

微生物の物質生産能力の向上にも期待

ピルビン酸は全生物共通で、代謝経路の中心に位置しており、様々な細胞構成成分の基質となる重要な炭素化合物です。細胞内ではその濃度の恒常性を維持するために、厳密な制御が行われています。大腸菌では細胞内のピルビン酸濃度を感知する転写因子PdhRによる遺伝子発現制御が知られています。これまでにPdhRはピルビン酸デヒドロゲナーゼや電子伝達系を制御することが報告されていましたが、その役割の全体像はよく分かっていませんでした。明治大学農学部 島田友裕准教授、安西拓実(博士前期課程2年)は、法政大学マイクロ・ナノテクノロジー研究センター 石浜明客員教授、東京工業大学科学技術創成研究院化学生命科学研究所 今村壮輔准教授と協力して、大腸菌におけるピルビン酸応答転写因子PdhRが、脂質の異化経路をはじめとするピルビン酸に直接作用する複数の代謝経路や、細胞の運動性に関与する遺伝子群の発現を制御していることを発見しました。

本研究は、日本学術振興会科学研究費補助金及び長瀬科学技術振興財団研究助成金の支援を受けました。研究成果は、英国の国際誌「Microbial Genomics」(電子版)2020年9月25日付に掲載されました。