Institute of Innovative Research, 
Tokyo Institute of Technology.

2020.08.07

プレスリリース

複雑な工法を用いず多孔質β-二酸化マンガン微粒子触媒を合成

触媒粒子のナノ空間が化学反応を促進、触媒や電池の電極材料の効率的な生産に貢献

東京工業大学 科学技術創成研究院 フロンティア材料研究所の鎌田慶吾准教授と原亨和教授らは、多孔質材料を作る際に必要な鋳型分子を一切使わず、大きな表面積をもつナノ粒子サイズのβ-二酸化マンガン(β-MnO2)からなるメソ多孔体(メソポーラス材料)を合成することに成功した。この多孔質ナノ粒子触媒を用い、合成中間体として有用なカルボニル化合物や再生可能なバイオマスからプラスチック原料を合成した。

従来の水熱法により合成したβ-MnO2は表面積が小さいため応用研究への展開が困難であり、新しいナノ粒子合成手法の開発が望まれていた。今回の研究では市販のマンガン原料の反応から得られる前駆体に着目し、大きな表面積と均質なメソ孔をもつβ-MnO2ナノ粒子を簡便かつ効率的に合成することが出来た。本研究で得られたβ- MnO2は、従来の水熱法で合成したものより表面積が大きく比較的分子サイズの大きい有機化合物の選択的反応場となるため、従来の触媒では困難であった有機化合物の合成への応用が期待される。

本技術では、化石資源を使わない化成品の製造やリチウムイオン電池の電極への応用などが期待され、地球温暖化の原因である二酸化炭素の排出低減に直結する効果が期待される。

研究成果は2020年7月31日(日本時間)に米国科学誌「ACS Applied Materials & Interfaces (エーシーエス・アプライドマテリアルズ・アンド・インターフェイシーズ)」オンライン速報版で公開された。