Institute of Innovative Research, 
Tokyo Institute of Technology.

2020.08.06

セミナー情報

第124回フロンティア材料研究所講演会(福地 厚 先生)8/24開催

酸化物薄膜が示す電場/電流誘起抵抗変化現象とその脳型情報処理デバイス応用

講師

福地 厚 先生
(北海道大学大学院情報科学研究院 助教)

講演概要

金属酸化物薄膜に対して外部より電場/電流を印加した場合、格子内の欠陥移動をはじめとする様々な機構によって、薄膜の電気抵抗には巨大かつ可逆的な変化が発現し得る事が知られている。近年、これらの抵抗変化現象をReRAM(抵抗変化型メモリ)やメモリスタと呼ばれるメモリ素子および脳型コンピューティング素子の原理として応用する試みが盛んとなっている。一方で欠陥移動型の抵抗変化現象に関してはその物理的なメカニズムの理解が進んでおらず、各デバイスの開発指針の確立に向けて、酸化物薄膜内の欠陥移動解析が現在重要な研究テーマとなっている。また応用上の要求から、欠陥移動以外の物理現象を基にした抵抗変化デバイスの開拓も現在強く求められており、様々な提案が行われている状況にある。本講演では我々がこれまでに行ってきた金属/酸化物接合系に対する欠陥移動解析の結果を紹介するとともに、新規の抵抗変化原理としてこれまでに提案した、強誘電体BiFeO3薄膜が示す強誘電型の抵抗変化現象と、モット絶縁体Ca2RuO4薄膜が示す電流誘起型の絶縁体-金属転移について紹介する予定である。