Institute of Innovative Research, 
Tokyo Institute of Technology.

2020.02.19

プレスリリース

組合せ最適化問題を高速に解く新しいアニーリングマシンを開発

世界初の全結合型アニーリングプロセッサLSIで高いエネルギー効率を実現

東京工業大学 科学技術創成研究院の本村真人教授らは、北海道大学、日立北大ラボ、東京大学と共同で、スマート社会においてますます重要となる組合せ最適化問題を高速に解くことができる新しいアニーリング処理方式と、それを利用した新しいプロセッサLSIの開発に成功した。

アニーリング処理は「局所型」よりも「全結合型」の方が応用範囲は格段に広い反面、高速に解くのが難しく、これまで全結合型のアニーリングプロセッサLSIは発表されていなかった。本研究では、全結合型のアニーリング処理を高速に解く新たなモデル「ストカスティック・セルラー・オートマタ(SCA)」を提案するとともに、このモデルを全並列・高速に実行するプロセッサアーキテクチャを開発し、世界初の全結合型アニーリングプロセッサLSI「STATICA」を実現した。STATICAは既存の手法に比べて、少なくともアニーリング処理の性能を数倍、エネルギー効率を2桁以上向上させることができる。

研究成果の詳細は2月17日から米国サンフランシスコで開催された「ISSCC2020(国際固体素子回路会議)」で発表された。

本研究開発は、科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業 チーム型研究(CREST)により推進されたものである。

また、日立北大ラボは、日立製作所と北海道大学が2016年6月に開設したオープンラボであり、北海道における少子高齢化や人口減少などの社会課題を解決し、地域創生につながる共同研究を推進している。