Institute of Innovative Research, 
Tokyo Institute of Technology.

2019.11.19

プレスリリース

現場利用のための「理研小型中性子源システム RANS-II」

容易に移設可能な加速器中性子源の開発

理化学研究所(理研)光量子工学研究センター 中性子ビーム技術開発チームの小林知洋専任研究員、池田翔太研究員、大竹淑恵チームリーダー、池田裕二郎特別顧問と東京工業大学 科学技術創成研究院 先導原子力研究所の林崎規託教授の共同研究チームは、容易に移設できるコンパクトサイズの「理研小型中性子源システムRANS-II(ランズ・ツー)」を開発し、計測実験に十分な中性子線の発生に成功しました。

本研究成果は、コンクリートインフラ構造物内部の現場における劣化診断や、一般企業の研究所や工場に必要な期間だけ設置して原料や製品の解析に使用するなど、機動的な中性子利用が期待できます。

今回、共同研究チームは、2013年に発表した「理研小型中性子源システムRANS(ランズ)」をさらに小型軽量化したRANS-IIを開発しました。RANS-IIではRANSよりも陽子線の加速エネルギーを小さくし、標的をベリリウムからリチウムにすることで、加速器重量を1/2に、標的を囲む遮蔽体重量を1/7程度に、装置の長さを1/3に抑制できました。2019年7月の施設検査合格以降、加速器の調整を重ね、各種計測実験が可能な状態になっています。

本研究は、台湾で開催される『第3回アジア・オセアニア中性子散乱に関する会議AOCNS2019』(11月18日)において発表されます。