Institute of Innovative Research, 
Tokyo Institute of Technology.

2019.10.04

プレスリリース

有機薄膜太陽電池を使った高活性光触媒の作成に成功

可視光に応答する光触媒の性能向上に期待

東京工業大学 科学技術創成研究院 化学生命科学研究所の長井圭治准教授、金沢大学 理工研究域 物質化学系の故桑原貴之准教授、髙橋光信教授、同 ナノマテリアル研究所の辛川誠准教授らの研究グループは、遷移金属を含まない有機薄膜太陽電池(OPV)のアノード電極を物理的に剥がし、触媒を付与することで高効率な光触媒として作用させることに成功した。

現在用いられている酸化チタンを使用する光触媒は、紫外線にしか応答しないため、東京工業大学の研究グループはこれまで、遷移金属を全く含まない有機材料で、可視光に応答する光触媒を開発してきた。本研究では、金沢大学で開発された逆型有機薄膜太陽電池のアノード電極を物理的に剥離させ、この表面に有機材料であるフタロシアニンという青色色素を蒸着させることで、大きな酸化力を持つ光触媒を得ることに成功した。

今回開発された独創的な新手法は、可視光照射で高効率に光酸化反応を起こすことを可能にするものであり、従来にない用途を持つ新しい光触媒の設計につながると期待される。

本成果は2019年10月1日付(英国時間)の英国王立化学会速報誌『Chemical Communications』電子版に掲載された。