2019.08.26
放射光でセラミックス内部の欠陥観察に成功
部材の信頼性向上、プロセス・設計・技術体系を革新
東京工業大学 科学技術創成研究院 フロンティア材料研究所の大熊学特任助教、西山宣正特任准教授、若井史博教授の研究グループは高輝度光科学研究センター、長岡技術科学大学と共同で、大型放射光施設SPring-8の放射光マルチスケールX線CTを用いて、セラミックスの内部に存在する亀裂状欠陥の3次元構造を高解像度で観察することに成功した。
セラミックス部材の性能向上には内部欠陥を低減する製造プロセス技術と、破壊源となる欠陥を検査・計測して信頼性を保証する技術が求められる。放射光マルチスケールCTでは、マイクロCTで部材内部に存在する微小欠陥の空間分布を、また、ナノCTで個々の欠陥の3次元形状を詳細に観察できる。
この技術により、粉体成形と焼結プロセスにおける欠陥形成機構を解明した。これは高信頼性部材製造技術の開発につながる成果である。さらに、部材の局所領域の欠陥分布より強度を予測した。強度の空間分布の把握が可能となり、セラミックスの信頼性工学の技術体系に革新をもたらすと期待される。
研究成果は、2019年8月12日にSpringer Nature(シュプリンガー・ネイチャー)社の科学誌「Scientific Reports」(オンライン版)で公開された。