Institute of Innovative Research, 
Tokyo Institute of Technology.

2022.10.03

プレスリリース

熱化学電池の蘊奥を開く

熱を電気に変える液体技術の予測設計に道

東京工業大学 科学技術創成研究院 ゼロカーボンエネルギー研究所の村上陽一教授と工学院 機械系の長勇毅大学院生(村上研究室所属)、日本化薬株式会社の研究チームは、熱エネルギーを電気に変える「熱化学電池」の性能を決める因子群の根底的な性質を明らかにし、その性能予測設計に道を開いた。

熱化学電池とは、水や有機溶媒に酸化還元対を溶かした液体(電解液)に温度差をつけ、温度が異なる2電極における可逆反応から電力を生む熱電変換技術であり、近年研究が活発化している。これまでの熱化学電池研究は、主に電解液や電極などの材料面での開発と改善に注力して行われてきた。

本成果は、熱化学電池の特性を決める因子群とそれらの間の関係を、量子化学計算と前世紀に開拓された溶液理論とを組み合わせて解明したもので、「その電圧や電流の値が得られるのはなぜか?」等の疑問に理解と説明規範を与え、社会に多量にある熱エネルギーから電気を生む液体技術の実装に向けた設計指針を与える基礎研究成果である。
本研究成果はPhysical Chemistry Chemical Physics(王立化学会、英国)の9月21日号に掲載(External site)された。