Institute of Innovative Research, 
Tokyo Institute of Technology.

2023.10.12

プレスリリース

オートファゴソームの“口”を大きくする因子を発見

大きな細胞質成分を分解するためのメカニズム

東京工業大学 科学技術創成研究院 細胞制御工学研究センターの小谷哲也特任助教、中戸川仁教授らは、オートファゴソームの形成時に、伸張中の隔離膜の開口端に局在化する因子として、Atg24複合体を同定した。さらにAtg24複合体が、伸張中の隔離膜の開口部を大きく開き、リボソームなどの大きな細胞質成分をオートファゴソームに取り込むことが可能になることを明らかにした。

オートファジーは、オートファゴソームと呼ばれる膜小胞で細胞質の一部を取り囲み、液胞またはリソソームに運んで分解する機構である。オートファジーが誘導されると、隔離膜と呼ばれるカップ状の膜が細胞質成分を取り囲みながら伸張して球状になり、最終的に開口部が閉じることでオートファゴソームが形成される。この際には、隔離膜が大きな開口部を開けながら伸張することが分かっていたが、この形態がどのようにして維持されているのかはよく分かっていなかった。

本研究では、オートファゴソーム形成時の形態制御機構にAtg24複合体が関与していることを明らかにした。また隔離膜の開口部の大きさを変えることによってオートファジーで分解する成分を選択するという新たな制御の仕組みを提唱した。

本研究成果は東京工業大学 科学技術創成研究院の小谷哲也特任助教、中戸川仁教授、大隅良典栄誉教授、京都大学 医生物学研究所の境祐二特定准教授、順天堂大学 大学院医学研究科の角田宗一郎准教授らによって行われ、9月19日(現地時間)に英国科学誌「Nature Communications(ネイチャー・コミュニケーションズ)」で公開された。