Institute of Innovative Research, 
Tokyo Institute of Technology.

2022.06.16

プレスリリース

最小の三元素合金:金・銀・銅原子からなる三角分子の直接観測に成功

異種原子が結合する瞬間をリアルタイムで観察、新たな触媒設計を実現する構造解析手法として期待

東京工業大学 科学技術創成研究院 化学生命科学研究所の今岡享稔准教授、山元公寿教授、物質理工学院 応用化学系の稲津美紀大学院生(研究当時)、赤田雄治大学院生らの研究グループは、高分解能な電子顕微鏡を用いて、異種の金属原子が結合する様子を世界で初めてリアルタイムに観察した。またこの手法により、これまで不可能だった、金-銀-銅を各1原子ずつ含む最小の三元素合金AuAgCuの直接観測にも成功した。

原子間結合の形成や切断によって得られる膨大な化合物の知見は、今日の有機化学や錯体化学、無機化学の基礎になっている。近年、一過性の過渡的にしか生成されない不安定な金属原子の集合体が、触媒反応における真の活性種であると考えられるケースも多く、特に「どのような集合体が一過性に形成されるのか」を知ることは重要であった。しかし、安定して結合する化合物でなければ、その存在を観測し、構造解析することは極めて困難である。

本研究では、グラフェン上にさまざまな金属原子を分散させたサンプルを用意し、原子を観察できる分解能を持つ電子顕微鏡で、結合の様子をリアルタイムに動画観察した。収録した動画を適切に画像処理することで、動く原子ひとつひとつの元素の種類を特定し、観察中に次々と生成していく分子の種類や構造を決定した。

安定的に単離できない、一過性の金属集合体でも準安定構造の観測を可能にした本手法によって、これまで未知であった原子集合体を形成する元素や形成過程の解明が可能になり、触媒の機構解明や新たな設計などにつながることが期待される。研究成果は5月27日に英科学誌「Nature Communications」オンライン版に掲載された。