Institute of Innovative Research, 
Tokyo Institute of Technology.

2022.04.22

プレスリリース

触媒機能をサポートする新規担体の開発に成功

H-含有BaTiO(3-x)HxとPd触媒の協働による反応効率向上を観測

東京工業大学 科学技術創成研究院 フロンティア材料研究所の宮﨑雅義助教、北野政明准教授、同 元素戦略研究センターの細野秀雄栄誉教授らは、高濃度のヒドリドイオンを含む六方晶系の酸水素化物(BaTiO(3-x)Hx)をBaH2とTiO2との直接反応によって合成した。BaTiO(3-x)Hxを触媒担体に用いると、パラジウム(Pd)触媒によるアルキン水素化反応の活性と選択性が大幅に向上することを示した。

BaTiO(3-x)Hxは高濃度のヒドリドイオンに起因する低い仕事関数を有しているにもかかわらず、大気中、水中でも安定というユニークな性質を示す。この化合物を触媒担体として用いると、担持されたPdナノ粒子へ電子が移動する。それによってPd粒子の電子状態が負の状態になり、液相および気相でのアルキン水素化反応において高い活性および選択性を示すことが明らかとなった。本研究は、高濃度ヒドリドイオンを有する酸水素化物が担体(support)として、触媒ナノ粒子を固定する土台機能だけでなく、触媒機能をサポートする機能も有することを明らかにしたものであり、今後様々な化学反応への応用展開が期待できる成果である。

研究成果は米国化学会誌「Journal of the American Chemical Society(ジャーナル オブ ジ アメリカン ケミカル ソサイエティー)」オンライン速報版に4月5日付で公開された。