2021.12.21
マイクロ波による固体触媒のμm~nmスケールの局所選択的な加熱機構を解明
非平衡局所加熱によって固体触媒反応を加速する新技術
東京工業大学 科学技術創成研究院の和田雄二特任教授 (兼 名誉教授、マイクロ波化学株式会社フェロー)、大阪大学 大学院 工学研究科 応用化学専攻 椿俊太郎特任講師(常勤)(兼 JSTさきがけ)、豊橋技術科学大学 電気・電子情報工学系 藤井知教授らの研究グループは、マイクロ波による固体触媒の局所選択的な加熱発生機構として、「接触点加熱」と「担持金属選択加熱」の2つの加熱モデルの存在を実証しました。
電子レンジにも用いられるマイクロ波は、特定の物質を高速かつ高選択的に加熱することができます。マイクロ波を触媒反応に用いた場合、電磁波エネルギーが直接固体触媒を加熱し、触媒反応に必要な熱エネルギーを供給することで、触媒反応が促進します。マイクロ波を用いた触媒反応プロセスは、再生可能エネルギー由来の電力を効率的に熱エネルギーに変換して、触媒反応を駆動することができます。そのため、次世代のカーボンニュートラルな新化学プロセスの一翼を担う技術として、注目されています。
これまで、マイクロ波による固体触媒の反応加速には、「非平衡局所加熱」や「ホットスポット」と呼ばれる、微小領域で生じる局所高温場が関与されていると考えられてきました。しかし、固体触媒の充填層内部にどのように温度分布が生じ、ホットスポットが形成されているのか、十分に理解されていませんでした。そこで、顕微サーモグラフィーなどを駆使して、「接触点加熱」と「担持金属選択加熱」の2つの局所加熱機構について、明らかにしました。
これらの研究成果は、ElseveirのChemical Engineering Journal(オンライン版)、およびAmerican Chemical SocietyのJournal of Physical Chemistry Cに掲載されました。