Institute of Innovative Research, 
Tokyo Institute of Technology.

2021.03.09

プレスリリース

電場に追随した強誘電体の電子状態のリアルタイム観測に成功

鉛を使わない環境に優しい強誘電体材料開発に道筋

広島大学大学院先進理工系科学研究科の加藤盛也大学院生(博士後期課程1年)、中島伸夫准教授らは、東京工業大学科学技術創成研究院の安井伸太郎助教、同大学物質理工学院の安原颯助教、静岡大学大学院総合科学技術研究科の符徳勝教授、高エネルギー加速器研究機構 物質構造科学研究所の足立純一研究機関講師、仁谷浩明助教、武市泰男助教、ラトビア大学のアンドリス・アンスポックス主任研究員らと共同で、チタン酸バリウム薄膜に交流電場をかけた際に引き起こされる電子状態変化のリアルタイム観測に初めて成功しました。

物質に電場をかけた際に、物質を構成する原子間の結合がどのように変化するのか、その場観察することは困難でした。放射光X線を用いた元素選択的な測定と、高速信号処理が可能な半導体X線検出器を組み合わせることにより、この困難を克服し、バリウムイオンとチタンイオンの静電相互作用を実験により初めて明らかにしました。古くから知られているチタン酸バリウムは、人体に有害な鉛を使わない強誘電体として再注目されており、本研究により、この物質を使った材料開発に新たな道筋を見出しました。

本研究の成果は、材料学で権威のある雑誌Acta Materialiaに1月21日付でオンライン掲載されました。