Institute of Innovative Research, 
Tokyo Institute of Technology.

2016.04.18

プレスリリース

紙おむつの材料から新しいカルシウムセンサーを開発

細胞外の高濃度カルシウムイオン機能の解明に前進

東京工業大学 科学技術創成研究院 化学生命科学研究所(旧資源化学研究所)の石割文崇助教、福島孝典教授らの研究グループは、東京大学の染谷隆夫教授、奈良県立医科大学の西真弓教授、堀井(林)謹子助教と共同で、細胞外の高濃度のカルシウムイオンの濃度変化を捉えるゲル状のカルシウムセンサーを開発することに成功しました。このセンサーは様々な形状に成形加工でき、安価で大量生産も可能であることから、今後、情報伝達物質として注目されている細胞外カルシウムの機能解明に関する研究だけでなく、食品や環境中のカルシウムイオン濃度検査などへの応用も期待されます。

近年、生体内で様々な機能を果たしている細胞外のカルシウムイオンの濃度変化を可視化できる蛍光カルシウムセンサーの開発が望まれています。研究グループでは、生体内の細胞外カルシウムセンサータンパク質(CaSR)の「カルボン酸の連続構造」をヒントに、類似の構造を有する汎用合成ポリマーであるポリアクリル酸に注目しました。ポリアクリル酸に特殊な色素を取り付けたポリマーを合成したところ、細胞外で起こるカルシウム濃度変化の検出に適したセンサーとして機能することを見出しました。本研究は科学技術振興機構ERATO「染谷生体調和エレクトロニクスプロジェクト(研究総括:染谷隆夫東京大学教授)」研究の一環で、成果は、2016年4月12日に英国科学雑誌「Scientific Reports」(オンライン)に掲載されました。