Institute of Innovative Research, 
Tokyo Institute of Technology.

2016.08.05

プレスリリース

高効率スクリーニングによる新しい2価スズ酸化物系光触媒材料の発見

京都大学 工学研究科 材料工学専攻、林博之助教と田中功教授らと、東京工業大学 科学技術創成研究院 大場史康教授、名古屋工業大学 壬生攻教授らは、共同研究により、新しい2価スズ(以下、Sn(II))酸化物系光触媒材料を発見しました。同グループでは様々な結晶構造を持つ約3,500種のSn(II)複合酸化物を対象に、量子力学に基づいた第一原理計算を系統的に実施することで、熱力学的安定性や物性を予測し、高効率にスクリーニングしました。その結果、SnMoO4を新しい光触媒材料の候補物質として見いだしました。この物質はこれまでに合成報告がなく、結晶構造も未知でしたが、同グループではピンポイントでの物質合成と光触媒活性の実験に取り組み、この物質が計算により予測されたとおりの結晶構造を持ち、優れた光触媒特性を示すことを実証しました。本研究の成功は、このような理論計算主導での物質探索の有効性を確認したものです。今後は、光触媒分野に限らず、汎用的・効率的な材料開発技術としての重要性を大きく増すものと期待されます。本研究は、科学研究費補助金・新学術領域「ナノ構造情報のフロンティア開拓―材料科学の新展開」(領域代表者 田中功 平成25年度から29年度)および科学技術振興機構イノベーションハブ構築支援事業「情報統合型物質・材料開発イニシアティブ(MI2I)」における成果です。