2017.06.15
テラヘルツ電磁波の照射による超高速誘電体材料の新しい制御法を発見 -データを超高速処理する光電子デバイスの開発に期待-
東京工業大学 理学院 化学系の沖本洋一准教授、腰原伸也教授、同科学技術創成研究院 フロンティア材料研究所の東正樹教授、京都大学 高等研究院 物質-細胞統合システム拠点の廣理英基特定拠点准教授、同理学研究科の田中耕一郎教授らの研究グループは、ビスマスとコバルトを含むセラミックスにテラヘルツ光(波長がサブミリメートルの遠赤外光)を照射すれば、非線形光学特性が5割以上増強する現象を初めて発見した。一般に極性材料は、高強度レーザー光の波長を変換する素子として利用され、その性能指数をどのように増大させるかが重要な課題となっている。およそ1テラヘルツに周波数域を持つレーザパルスの照射により、室温で第二次高調波強度が5割以上増大する現象が明らかになった。これは、瞬間的な高電場印加によって極性材料の波長変換特性が大きく向上したことを示す。室温かつ非接触、超高速での新しい非線形光学材料の性能指数向上や巨大データ高速処理に必要な超高速光電子デバイス開発への応用が強く期待される。
研究成果は5月11日発行の米国科学誌『フィジカルレヴューアプライド誌(Physical Review Applied)』オンライン版に掲載された。