Institute of Innovative Research, 
Tokyo Institute of Technology.

2017.07.28

プレスリリース

スマート創薬手法で4個のヒット化合物を発見 ―顧みられない熱帯病(NTDs)制圧に期待―

東京工業大学 科学技術創成研究院 スマート創薬研究ユニットの関嶋政和ユニットリーダー/准教授、同大学 情報理工学院 情報工学系の秋山泰教授、長崎大学大学院 熱帯医学・グローバルヘルス研究科の北潔教授を中心とする研究グループは、顧みられない熱帯病(NTDs)の創薬研究で利用する統合型データベース「iNTRODB」を用いて、シャーガス病やリーシュマニア症、アフリカ睡眠病等の原因となるトリパノソーマ科寄生原虫の創薬標的としてスペルミジン合成酵素を決定。東京工業大学のスーパーコンピュータ「TSUBAME」を用いて、この酵素の機能を阻害するヒット化合物を4個発見した。

本研究開発では、IT創薬と生化学実験が連携するスマート創薬で、従来の創薬手法であるHigh Throughput Screening(HTS)に比べ、20倍以上高いヒット率でヒット化合物を見つけることに成功した。今後、今回見出したヒット化合物について、細胞中に存在するトリパノソーマ科寄生原虫に対する殺原虫活性を確認していくほか、顧みられない熱帯病を始め、他の疾病に対してもこのスマート創薬の手法の適用を進め、創薬コストの削減を目指していく。

iNTRODBにより創薬標的を発見し、スマート創薬により高いヒット率でヒット化合物の獲得に成功した本研究成果は、2017年7月27日号の国際科学誌「Scientific Reports」に掲載された。


NTDs創薬研究向け統合型データベース「iNTRODB」は、第11回産学官連携功労者表彰において厚生労働大臣賞を受賞している。