Institute of Innovative Research, 
Tokyo Institute of Technology.

2021.02.15

プレスリリース

動物細胞の核膜における核膜孔複合体とラミンの結合の定量解析に成功

心筋症などの遺伝病における細胞病態の解明への一歩

東京工業大学 科学技術創成研究院 細胞制御工学研究センターの志見剛特任准教授は、ノースウエスタン大学(米国)のRobert Goldman(ロバート・ゴールドマン)博士とチューリッヒ大学(スイス)のOhad Medalia(オハド・メダリア)博士らとともに、動物細胞の核膜に存在する核膜孔複合体とラミンの結合を定量的に詳しく解析することに成功した。

核構造を維持する核ラミナの構造タンパク質であるラミンは、分子がつながって網目構造をとっている。核-細胞質間の高分子輸送を制御している核膜孔複合体は、この網目構造に挿入されていることがわかっている。しかし核膜孔複合体とラミンの結合については不明な点が多かった。本研究では、最新のクライオ電子線トモグラフィー法とコンピュータービジョンによる3次元構造化照明顕微鏡法の画像の定量解析を行い、核膜孔複合体がラミンのファイバー構造に沿って分布し、ELYSというタンパク質を介してラミンと結合することを明らかにした。

この成果から、核膜孔複合体と核ラミナの構造と機能のよりよい理解と、心筋症、筋ジストロフィー、早老症などラミンの変異を原因とする遺伝病(ラミノパシー)の細胞病態の分子レベルでの解明につながると期待される。

本研究の成果は、2月11日(現地時間)にロックフェラー大学出版会The Journal of Cell Biology オンライン版に掲載された。