Institute of Innovative Research, 
Tokyo Institute of Technology.

2020.05.14

プレスリリース

N-メチル化ペプチドを高収率・短時間で合成

安価な反応剤で生成した高活性中間体を活用

東京工業大学 生命理工学院 生命理工学系の小竹佑磨大学院生(研究当時)、物質理工学院 応用化学系の川内進准教授(同)、科学技術創成研究院 化学生命科学研究所の中村浩之教授、布施新一郎特定教授(研究当時 准教授、現 名古屋大学教授)らの研究グループは、医薬品候補として重要なN-メチル化ペプチドの新たな高効率合成法の開発に成功した。N-メチル化ペプチドを基盤とする医薬品開発の加速、低コスト生産につながる成果といえる。

同研究グループは安価な反応剤を用いて、高活性な中間体を生じさせることによりN-メチルアミノ酸の反応性の低さを補完することに成功した。この開発手法を既存の手法と比較したところ、より短時間、高収率でN-メチル化ペプチドが得られることがわかった。また、開発した手法はマイクロフロー合成法や固相合成法と組み合わせて実施することができる。

N-メチル化ペプチドは代謝安定性や標的への親和性・選択性、さらに膜透過性が通常のペプチドより高まるとされるため、医薬品候補として重要だが、これまでは反応性の低いN-メチルアミノ酸の連結は高価な反応剤を大量に用い、長時間反応を実施しても低収率となることが珍しくなかった。

研究成果は4月9日に国際的学術誌「Angewandte Chemie International Edition(アンゲヴァンテ・ケミー・インターナショナル・エディション)」に掲載された。