Institute of Innovative Research, 
Tokyo Institute of Technology.

2020.11.05

プレスリリース

MEMS集積化に向けた新しいカオス信号生成手法の実証に成功

機械学習などの信号処理技術への応用に期待

日本電信電話株式会社(以下 NTT)と東京工業大学(以下 東工大)科学技術創成研究院 ルドビコ・ミナチ(Ludovico Minati)特定准教授は共同で、従来手法よりも簡便で汎用性の高いカオス信号の生成手法を提案し、微細なメカニカル振動子を用いて動作実証することに世界で初めて成功しました。

昨今、機械学習や秘匿通信などの情報処理技術の分野において、カオス信号の活用が研究されています。携帯端末や医療応用においてその活用が盛んに進められているMEMS(Microelectromechanical Systems)の分野においても、制御性に優れ、集積化に適したカオス発生素子の研究が進められてきました。今回、メカニカル振動子が示す「秤動」を制御することにより、素子構造の微細化と低電圧駆動が可能な新しいカオス発生手法の実証に成功しました。この技術により、センサの入力情報を同じチップ上で機械学習させる半導体チップなど、新しいMEMS集積技術の発展が期待されます。

本成果は、NTTにおいて素子作製・測定を行い、東工大において理論計算に基づいたデータ解析を行うことによって得られたものであり、米国の科学誌「フィジカルレビューレターズ」(米国東部時間10月23日付)に掲載されました。