Institute of Innovative Research, 
Tokyo Institute of Technology.

2020.09.23

プレスリリース

「金‐銀‐銅」の合金微粒子を生成

オリンピックメダル金属の3元素から成る高性能触媒を開発

東京工業大学 科学技術創成研究院の塚本孝政助教、山元公寿教授、田邊真特任准教授、神戸徹也助教らの研究グループは2018年にグループが開発した「アトムハイブリッド法」を応用し、複数の元素を混ぜ合わせた極小のナノ粒子「サブナノ粒子」を利用した特殊な高活性酸化触媒の開発に成功した。

研究グループは今回、金・銀・銅の三種類の金属元素を含むサブナノ粒子を触媒として使用し、炭化水素の酸化反応を中心に性能を調査した。その結果、この合金粒子は従来の触媒よりも低温・低圧で駆動し、空気中の酸素分子のみを使用、特別な反応剤も必要としない極めて温和な反応条件で機能する高活性触媒となることを発見した。さらに、通常は得られない特殊な高エネルギー物質「ヒドロペルオキシド」が安定して得られることも明らかになった。

低資源量、低エネルギーで高い活性を発現することから、このようなサブナノ粒子触媒は資源問題やエネルギー問題の視点からも有用な材料になると期待される。さらに、粒子中の元素を適切に組み合わせれば、触媒反応を用途に応じて自在にデザインできる可能性があり、将来的には資源やエネルギーをほとんど消費することのない新たな環境材料の創出が期待できる。

研究成果は2020年8月26日発行のドイツ化学会誌「Angewandte Chemie International Edition(アンゲヴァンテ・ケミー国際版)」オンライン版に掲載された。