Institute of Innovative Research, 
Tokyo Institute of Technology.

2020.09.16

プレスリリース

膨大な活性データの網羅的解析から低分子医薬品候補を創出

見落とされていた小さな構造変化から高い活性化合物を予測

東京工業大学 生命理工学院 生命理工学系の浅輪泰允大学院生(博士後期課程2年)、同大学 科学技術創成研究院 化学生命科学研究所の中村浩之教授と株式会社理論創薬研究所の吉森篤史博士、ライン・フリードリヒ・ヴィルヘルム大学ボン(ドイツ)のJürgen Bajorath(ユルゲン・バヨラト)教授らは、低分子医薬品候補の迅速な設計を目指し、SAR Matrix法を用いてマトリックスメタロプロテアーゼ1(MMP-1)阻害剤のactivity cliff(活性の崖)を予測した。

高い活性が予測された新規化合物を実際に合成し、評価した結果、構造的に類似した化合物と比較して60倍のMMP-1阻害活性を有することがわかった。さらに、合成した化合物のファーマコフォアフィッティングを行った結果、正しく予測されたactivity cliffは、化合物とMMP-1の214番目のアルギニン残基との相互作用によるものであることが示された。

研究成果は9月7日付(現地時間)に英国科学誌「Scientific Reports(サイエンティフィック・リポーツ)」に掲載された。