Institute of Innovative Research, 
Tokyo Institute of Technology.

2020.06.25

プレスリリース

相同組換えを活性化するメカニズムを解明

ゲノム編集の効率化への貢献にも期待

東京工業大学 科学技術創成研究院 細胞制御工学研究センターの坪内英生助教、岩﨑博史教授らの研究グループは遺伝情報の安定化および多様化の根幹をなす相同組換えを活性化する二種類の活性化因子の役割を試験管内の再構成により解明することに成功した。

坪内助教らは相同組換えタンパク質であるDmc1が生体内で機能するために必要な二種類の補助因子Swi5-Sfr1とHop2-Mnd1に着目し、これらのタンパク質を大腸菌で発現・精製し、Dmc1によるDNA鎖交換反応を試験管内で再構成した。その結果、Swi5-Sfr1とHop2-Mnd1は全く異なる機構でDmc1を活性化しており、この二つの補助因子が段階的に互いを補う様にDmc1のDNA鎖交換反応を促進することを明らかにした。

相同組換えは生物学的に極めて普遍性の高い重要な機構だが、いわゆるゲノム編集技術[用語4]が生体内の相同組換え機構を巧みに利用することによって実現されていることから、相同組換えを効率化するメカニズムを解明することは医学的にも大変重要と考えられる。

本研究成果は、2020年5月15日付の「Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America」の電子版に掲載された。