2020.04.13
高分子電解質のシャボン玉を使ってEUV(極端紫外線)発生に成功
コンパクトな量子線源となることを期待
東京工業大学 科学技術創成研究院 化学生命科学研究所の長井圭治准教授、クリストファー マスグレイブ特任助教(現 ユニバーシティ カレッジ ダブリン)、庄司俊太郎大学院生の研究グループは、高分子電解質を界面活性剤として用いたシャボン玉を鋳型として、レーザーの低密度ターゲットとなるスズ薄膜球を作成することに成功した。使用したスズの量は、シャボン玉1個あたり4.2 ナノグラムと少なく、原子数、サイズの制御性も高い。実際にレーザーを照射すると、金属スズと変わらない13.5 ナノメートル(nm)の極端紫外線の発光を確認できた。
高分子電解質の泡は、いわば極めて安定なシャボン玉であり、大量の製造に適している。今回開発した手法は、原理的にはスズだけでなく、他の元素にも適用できるため、レーザー式では開発が困難と考えられている6.x nmの光源や、がん治療などに用いられている炭素イオンビーム用のターゲットなどにも展開が可能である。
近年、高強度レーザーの開発が進む一方で、レーザーの標的(ターゲット)の開発が遅れており、特に極低密度で、大量製造が可能な、安価なターゲットが求められている。本手法はこれらの条件を満たすものであり、その発展が見込まれる。
本成果は2020年4月3日付の『Scientific Reports』電子版に掲載された。