Institute of Innovative Research, 
Tokyo Institute of Technology.

2020.02.10

プレスリリース

貴金属に匹敵する触媒活性を示す安価な錆びた銅

極小サイズが引き起こす高活性化

東京工業大学 科学技術創成研究院 化学生命科学研究所の田邊真特任准教授と山元公寿教授らの研究グループは、1ナノメートル(nm)程度の酸化銅サブナノ粒子が、炭化水素の酸化反応において高効率触媒活性を示す要因を明らかにした。

酸化銅は銅と酸素が安定な化学結合を形成した化合物だが (錆びた銅の成分)、その酸化銅粉末を1 nmサイズまで極小化すると、結晶構造としての安定性が失われると同時にアモルファス構造による反応性が向上する。サブナノ酸化銅粒子の構造解析と触媒活性の評価から、既存の貴金属触媒にも匹敵する高効率な触媒活性を示すことを見いだした。

研究成果は、既成概念にとらわれないサブナノ酸化物粒子の精密な構造解析や化学特性に関する実験結果をもとに、安価な銅触媒でも高難度炭化水素の酸化反応を引き起こす触媒技術開発に貢献できると期待される。

研究は科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業総括実施型研究(ERATO)「山元アトムハイブリッドプロジェクト(山元公寿研究総括)」で実施した。研究成果は2月6日発行の米国化学会誌「ACS Nano」オンライン版に掲載された。