Institute of Innovative Research, 
Tokyo Institute of Technology.

2020.01.17

セミナー情報

第121回フロンティア材料研究所講演会(只野央将先生) 2/5開催

第一原理フォノン計算の前線:非調和効果と電子格子相互作用

講師

只野 央将 先生
(物質・材料研究機構 磁性・スピントロニクス材料研究拠点)

講演概要

第一原理フォノン計算はフォノンダイナミクスの理解・予測を可能にする強力な手法である。しかし、現在広く普及している準調和近似は原子のゼロ点振動や熱振幅が大きな場合に破綻し、また格子熱伝導率や構造相転移などポテンシャルの非調和性が本質である物理現象を扱えない。これを解決するため、非調和効果を精密に扱うフォノン計算法の開発が世界規模で行われており、適用例が拡大しつつある[1-3]。本講演では、ペロブスカイト酸化物ATiO3(A=Sr,Ba)の構造相転移予測と熱電材料テトラへドライトの熱伝導計算を通じて第一原理フォノン計算の最前線に迫る。また、非調和性と電子格子相互作用が協奏する系として、高圧下ランタン水素化物超伝導体[4]とLaNiO3に関する話題も提供する。
[1] I. Erreaet al., Phys. Rev. B 89, 064302 (2014).
[2] O. Hellman et al., Phys. Rev. B 84, 180301 (2011).
[3] T. Tadano and S. Tsuneyuki, J. Phys. Soc. Jpn. 87, 041015 (2018).
[4] I. Errea, T. Tadano et al., arXiv:1907.11916.