Institute of Innovative Research, 
Tokyo Institute of Technology.

2019.09.03

プレスリリース

複数の原子からなる高次の物質の周期律を発見

未知物質の探索に活用できる新たな周期表の誕生

東京工業大学 科学技術創成研究院の塚本孝政助教、春田直毅特任助教(現 京都大学 福井謙一記念研究センター 特定助教)、山元公寿教授、葛目陽義准教授、神戸徹也助教らの研究グループは、コンピューターシミュレーションを用いた理論化学的手法に基づき、分子などの微小な物質(ナノ物質)が持つエネルギー状態を記述する「対称適合軌道モデル」を開発した。このモデルは、ナノ物質が持つ様々な幾何学的対称性に着目することで、それらの形状や性質などを正確に予測する。さらに、この理論モデルにより、複数の原子からなる高次の物質の間にも元素のような周期律が存在することを発見し、この周期律を元素周期表と類似の「ナノ物質の周期表」として表すことに初めて成功した。

今回の研究により、元素周期表の発見から150周年の節目にあたる国際周期表年に、全く新しい高次の周期表が発見されたことになる。この周期表に従ってナノ物質の設計や探索を行うことで、将来的には、今まで発見されてこなかった未知の物質や新たな機能材料の創出が期待できる。

この研究は、科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業 総括実施型研究(ERATO)「山元アトムハイブリッドプロジェクト(山元公寿 研究総括)」で実施された。本成果は、2019年8月19日発行の英科学雑誌Nature Publishing Groupの「Nature Communications」オンライン版に掲載された。