Institute of Innovative Research, 
Tokyo Institute of Technology.

2019.08.02

プレスリリース

ヒストンタンパク質の翻訳後修飾の可視化に成功

エピジェネティックマークを色で観察する細胞内抗体プローブ開発

東京工業大学 科学技術創成研究院の上田宏教授と鍾蝉伊(ショウ・ゼンイChung, Chan-I)研究員(研究当時)、木村宏教授らの研究グループは、ヒストンタンパク質の特定の翻訳後修飾(ヒストンH3タンパク質の9番目リジンのアセチル化、H3K9ac)を生細胞内の蛍光色変化として可視化する技術の開発に成功した。

細胞内抗体と蛍光タンパク質間の蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を用いてH3K9acをその蛍光波長変化として直接検出する細胞内抗体プローブH3K9ac FRET-mintbodyを開発し、生きた細胞をライブイメージングすることに成功した(図)。抗原に結合することによる細胞内抗体の微妙な構造変化と、二つの蛍光タンパク質同士の距離と配向の変化により、FRET効率が顕著に向上するプローブを構築できたと考えられる。

細胞内でDNAと結合しているヒストンタンパク質の翻訳後修飾は、遺伝子の働きを制御する重要な役割を果たしている。その中でヒストンH3のアセチル化修飾は遺伝子活性化の目印として働くと考えられており、発生や分化、iPS細胞(人工多能性幹細胞)の形成過程で大きく変動することが知られていたが、これまで生きた細胞内でその修飾量の変化を蛍光色で観察する技術は報告されていなかった。

この成果は7月15日に英科学誌「Scientific Reports(サイエンティフィックレポーツ)」にオンライン掲載された。