基礎研究機構

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About

機構長挨拶

 現在、日本の研究環境には3つの危機が顕在化しています。これらは研究の挑戦性・継続性をめぐる危機(研究費・研究時間の劣化)、次代を担う研究者をめぐる危機(若手研究者の雇用・研究環境の劣化)、「知の集積」をめぐる危機(研究拠点群の劣化)であり[1]、特に研究成果の創出に長い時間を要する基礎研究において顕著です。これに先立って2016年にノーベル生理学・医学賞を受賞した大隅良典栄誉教授は、受賞記念講演において「科学を何かに役立てるためのものではなく、文化としてとらえ、育んでくれる社会になってほしい」と訴え、若い人がチャレンジングな課題に取り組める環境整備の必要性を説いています。
基礎研究機構は、こうした日本の基礎研究の体力低下と大隅先生の指摘を受けて2018年に科学技術創成研究院内に設置されました。本機構のミッションは、最先端研究領域を開拓する基礎研究者を育成することです。そのために、若手研究者の研究エフォートを現在の6割から9割(平成26年度文科省調査より推計)に増加させ、自由な雰囲気の中で研究に集中できる環境を構築することを目指しています。
さらに、研究分野に応じた適切な研究環境を整えるべく、本学が世界をリードする最先端研究分野において顕著な業績を有する傑出した研究者を塾長に据えた専門基礎研究塾と、本学の全ての新任の若手研究者が塾生として3ヶ月間研鑽を行う広域基礎研究塾を設置し、これまでに90名を超える若手研究者を受け入れています。
私たちはこうした地道な活動を継続し、短期的視野に陥りがちな研究姿勢から一歩距離を置いた研究と研究者を支援します。そして基礎研究が実る節目と言われる10年程度を経た2030年以降に卓越した研究成果を継続的に生む新たな知の地平を社会に届けます。皆様の暖かいご理解とご支援を賜りますよう心からお願い申し上げます。

 

[用語1]
基礎科学力の強化に向けて-「三つの危機」を乗り越え科学を文化に-
(平成29年4月24日 文部科学省 基礎科学力の強化に関するタスクフォース)

機構長

大竹 尚登

大竹機構長

副機構長挨拶

 平成31年4月から着任致しました。主に広域塾(広域基礎研究塾)を担当させていただきます。
 広域塾では、本学で若手研究者が独創的・萌芽的な基礎研究を 持続的に実施できる環境作りをミッションとしています。
 若手研究者が長期的な視野に立って自らの研究テーマを設定し、息の長い研究を続けることのできる環境を整えることは、日本の将来にとって非常に重要です。ただし、このような環境を実現するには皆様方のご理解とご支援が必要です。若手研究者が自由な発想で研究活動が行えるよう、微力ながら努める所存です。

副機構長

伊能 教夫

伊能副機構長

組織構成図

基礎研究機構は、専門基礎研究塾と広域基礎専門塾で構成され、若手研究者に、自らの学術的興味に基づいて独創的・萌芽的な研究課題を見出し、社会的な期待や責任を自覚しつつ研究を推進することの重要性を肌で感じられる場を提供することにより、人材育成と研究大学の発展を支えていきます。