ポリマー化技術により肝臓がん幹細胞の標的化を実現

大阪大学 大学院医学系研究科の俊山礼志 大学院生(卒業生)、今野雅允 寄附講座講師(先進癌薬物療法開発学寄附講座)、石井秀始 特任教授(常勤)(疾患データサイエンス学共同研究講座)、江口英利 准教授、森正樹 教授(消化器外科学Ⅰ)、土岐祐一郎 教授 (消化器外科学II)らの研究グループは、東京工業大学の西山伸宏教授らとの協働した研究により、PEG-ポリアミノ酸ブロックコポリマーとウベニメクスを用いたドラッグ・デリバリー・システム(DDS)を構築しました。このDDSを用いることによって、がん幹細胞[用語4]におけるウベニメクスの濃度を局所的に高めることができるようになりました。さらに、標準的な抗がん剤と併用させることで、がん幹細胞を著しく減少させることに成功しました(図1)。

これまで、研究グループは、肝臓がん幹細胞の表面マーカーとしてCD13を同定しました。CD13の阻害剤であるウベニメクスを添加すると、がん細胞が細胞死を起こすことが明らかとなっていましたが、固形がんではウベニメクスの局所濃度を高めることができなかったために、腫瘍組織の中の一部にしか存在しないがん幹細胞を標的化することは困難とされてきました。

今回、ブロックコポリマーのポリアミノ酸側鎖にウベニメクスを結合したDDSを用いることにより、進行期肝臓がんの幹細胞においてウベニメクス濃度を局所的に高めることができ、肝臓がん腫瘍を減少させることができました。この技術を応用することで、抗がん治療の効果が高まることが期待されます。

本研究成果は、英国科学誌「Oncogene」に8月8日(水)午後9時(日本時間)に公開されました。

詳しくはicon_site東工大ニュースをご覧ください。

化学生命科学研究所
西山研究室