分子共鳴トンネルトランジスタの実現に期待

東京工業大学 科学技術創成研究院/元素戦略研究センターの真島豊教授と東京大学 大学院理学系研究科の中村栄一特任教授、神奈川大学 理学部の辻勇人教授の研究グループは、室温(27℃)での分子ワイヤの長距離共鳴トンネル現象を世界で初めて確認した。

固体基板上のナノギャップ電極のギャップ間に剛直な構造の分子ワイヤを導入した素子の微分コンダクタンスのピーク電圧の観察から、このギャップ間の電気伝導が分子ワイヤの共鳴トンネル現象で説明できることを明らかにした。これは、1つの分子で電気信号をON/OFFできる分子共鳴トンネルトランジスタなどへの応用を可能にするものだ。

今回用いた分子ワイヤは、4.3ナノメートルの長さを有する炭素架橋分子ワイヤ(COPV6)と呼ばれる構造のπ共役系分子で、微分コンダクタンスのピークは、この分子の最高被占有軌道(HOMO)とHOMO-1、最低空軌道(LUMO)とLUMO+1のそれぞれの軌道に対応していることを確認した。

本成果は、半導体量子井戸構造の量子化準位において観察される共鳴トンネル現象が、4ナノメートルを超える分子ワイヤのエネルギー準位でも実現できることを示唆している。今後、分子構造や素子構造を最適化することで、分子軌道を電界変調する分子共鳴トンネルトランジスタの実現が期待できる。

この研究では、剛直分子ワイヤを東京大学と神奈川大学で合成し、長距離共鳴トンネル現象を東京工業大学が確認した。米国の科学誌「ACS Omega(エーシーエスオメガ)」に、5月11日にオンライン公開された。

詳しくはicon_site東工大ニュースをご覧ください。

フロンティア材料研究所
真島・東(康)研究室