溶液塗布だけでできる透明p型アモルファス半導体を開発

東京工業大学 科学技術創成研究院の細野秀雄教授(元素戦略研究センター長)と元素戦略研究センターの金正煥助教らの研究グループは、これまで実現できなかった液相から合成でき、高い移動度を持つ透明p型のアモルファス半導体の設計指針を考案、Cu-Sn-I系半導体で初めて実現しました。

3 eV以上のバンドギャップを持つ透明物質で正孔が伝導キャリアとなるp型半導体は稀です。研究グループは、化学結合と構成イオンの軌道の広がりを基に、新たな物質設計指針を考案しました。Cu(銅)-Sn(スズ)-I(ヨウ素)という3成分系に着目、原料を溶媒に溶かし、室温で塗布することで、6~9 cm2/Vsという大きな移動度を持つ透明p型アモルファス半導体の薄膜が得られました。この移動度は、同グループが開発し、既にディスプレイの駆動に使われているn型アモルファス酸化物半導体のIGZOに迫るものです。これを用いれば、プラスチック基板上に透明pn接合が容易に形成できるので、曲がる透明な電子回路開発に道が拓けます。今回、物質設計指針が確立したことから、多くの元素の組み合わせでの活用が広がり、透明n型アモルファス酸化物半導体(TAOS)に匹敵する、新しい物質群の創製が期待されます。

本研究成果はドイツ科学誌「Advanced Materials」に速報としてオンライン版に2018年1月30日付(日本時間)で公開されました。

詳しくはicon_site東工大ニュースをご覧ください。

フロンティア材料研究所
元素戦略研究センター